私がやっているコーチングに対して、時々こんなお問い合わせをいただくことがあります。

話が上手くなって人気者になりたいのですが、
コーチングしてもらえますか?
気持ち、よく分かります。そして、悩んでおられることでしょう。
ですが、このようなお問合せに対しては、なるべく他のサービスを受けることを勧めるようにしています。
話し方教室などの方ですね。
実はコーチングを、話し方が上手になるための教室だと
勘違いして捉えられている方がよくいらっしゃいます。
あらかた間違いではないところもあるので、否定はしていませんが、
本当は、また別の問題を解決するためのサービスとして成り立っています。
では、コーチングで身に付けられるものって、本当はなんなのでしょうか?
今回は、質問として挙がってくる傾向の多いこの、「コーチングが何のためにあるのか」の、
本当の理由をお伝えしたいと思います。
コーチングにおいて、会話術が占める割合はたったの10%

よく、コーチングを学ぶと会話が上手になると言われることがありますが、
コーチングって本当は、会話を上手にするために学ぶものではありません。
確かにコーチングの技術には、会話の進め方のコツとなるものがあり、
それを相手との対話の中で随所に使用しながら、相手の問題を解決へと導いていくので、
巧みな会話術が身に付くのは違いないです。
例えば、ミラーリング・ペーシング・バックトラッキング・サイレンス・アイスブレイク・ブレーンストーミングなどのスキルを用いる会話をするので、
会話力を上げたい時や、コミュニケーション能力を高めたい時には、もってこいかも知れません。
けどそれはあくまで、会話を円滑に進められるようになるだけであって、
本当に誰かの悩みを真剣に解決してあげようとする場面では、
この会話術・会話力だけでは、まるで歯が立たないことがほとんどなのです。
これが、会話が単なるコミュニケーションツールである証拠です。
これに、想いを吹き込めて初めて、本当のコミュニケーションへと変化します。
なので、コーチングにとって本当に必要な力って実は、会話力ではありません。
コーチングとは、人間が本来持っている力を引き出すことで、
今まで知らなかった本当の自分に気づていきながら、
だんだんと才能ある自分へ変わっていくことを狙いとしたプログラムですから、
対話する内容がプライバシーでセンシティヴな方向となるため、
話が上手くなることを期待して利用するものではないのです。
ではこれが、コーチとなって活躍をするようになった場合ではどうでしょう?
コーチに必要な力は、会話力ではない

なんと、コーチにとって必要な能力でさえ、会話力ではありません。
では一体、コーチにとって最も必要な能力とはなんなのか。
それは、人間力なんです。
人間力とは、理解する力・表現する力・分析する力・解決する力・整理する力・判断する力です。
そして、幅広い物事の見方です。
会話する力なんてものは、この中に上がってきません。
会話力というのは、これらで培ってきた心と脳の能力を、言葉を通して上手く伝えて行けれればいいわけなので、
実際のところ、それらを順序立てて話す力さえあればいいんですね。
それよりも、会話にとって必要なのは、その中身です。
会話は、体験が多いほど厚みが出るものなので、
逆を言えば、人間力が高い人の会話ほど力の有るものはないということです。
例として、過去にどん底に落ちたりしながらも、そこから這い上がってきた経験をしているような人の話を聴いている時、
皆さんはその人に対して、「ダメな人・力の無い人」って思うでしょうか?
きっと、今の自分と照らし合わせながら、こんなにも尊くて敬いたい人はいない。と、
深く感銘を受けるのではないかと思います。
コーチとして活躍するためにわざわざ、こんな経験をしてこいだなんて言いませんが、
でも、嫌でもしてしまった経験だからこそ、語れば語るほど力があるので、
このような人ほど、コーチとして活躍するべきだと思います。
なので、コーチを付けたい方がコーチを選択する際においては、
上手く行かなかった過去や苦しんで来た過去を越えて、今みんなの前に立っている。
ってコーチを選ぶことが要となるのです。
この仕事で大切なのは、失敗体験を伝えられるかどうかなのです。
人の気持ちをとことんまで分かるようになるには、体験しかないのです。
傷ついた体験が多いコーチほど、悩んで来たことが多いコーチほど、より多くの答えを持っていることから、
今ここでどんな質問をしてあげるのが適切なのかを見極めながらコーチングできるので、
そのコーチからの質問にハッとさせられては、「気づかせてくれてありがとう」と感じさせてくれるものなのです。
どう考えても、とことんまで味方になってくれるのは、
このようなコーチですよね。
人間力が入っているコーチングは、もはやコンサルティング

結局コーチングは、コンサルティング力がないと成り立たないということだったんです。
そして、コーチングが通常のコンサルティングと違う点として、
「答えを押し付けない」という、カウンセリングの要素も入っているコンサルティングだということです。
ただし、コーチングのスキルに沿って、ただ質問や傾聴や承認をして行けば成立すると思っているコーチでは、
決して人の問題を解決することはできないと思います。
これが、「コーチングにとって大切なのは、コンサルティング力。」という所以です。
コーチとは、コーチングという手法を用いた、キャリアやマインドやライフデザインの
専門コンサルタントだったということなんですね。
そしてこの、コンサルティング力こそ、人間力があって初めて成立します。
まとめ:コーチングは、本当の自分に目覚めるための術だった

コーチングが、会話を磨くための場ではなく、人間を磨くための場だということがお解りいただけたでしょうか?
よって、
誰かを上手に口説きたい
セールスでの話術を磨きたい
饒舌に喋れるようになりたい
という理由でコーチングを学んだとしても、きっと思ったような結果は出ないと思います。
これが、会話術を学んだところで、人間力がないと使い物にならないと言われるところです。
なので、コーチングは本当は、
- 自分を心から変えていきたい
- 愛する家族に対してもっと温かく接せれるようになりたい
- 自分のこの想いをちゃんと伝えられるようになりたい
という、悩み苦しんで来た人が本気で幸せになりたいと望む、この気持ちのためにあるものなのです。
そのため、コーチングでは、話すことよりも聴くことから学んでいくようになっているんですね。
そして、学ぶ前に、まずは自分がコーチングを受けて、
本当の自分に目覚めるという、感謝と感動の体験をすること。
その結果、人間力が向上するから、会話力が身に付いていくのです。
こうして、心からの会話ができるようになれれば、実は誰でもコーチになれるんです。
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