貯金でお金を蓄えるのは、これからの生活を楽にしたかったり、突如大きなお金が要るようになった時のことを考えてだと思いますが、
実は預貯金って、何かとリスクが多いです。
皆さんは「こんなにもアテになる金融商品は無い」と感じて、とにかく預貯金で多額のお金を確保(保管)しておこうとするかもしれませんが、
預貯金は、本当にいざという時には力が発揮できない、
凄く弱い金融商品だということをご存じだったでしょうか?
相対性理論を唱えたあのアインシュタインが「人類最大の発明」だと定義づけたことで有名な、
「複利」の力さえないくらいです。
この預貯金ですが、特に老後において沢山してしまっている方は要注意です。
おそらく、老後は現役のころと比べて活動量が落ちるため、預貯金を沢山する目的が自分のためというより、
お子さんやお孫さんなどの、他の家族のためにされているのではないかと思います。
それらが、ご自身が生存されている間に起こる他の家族のライフイベントへの使用であれば問題ないのですが、
自身の死後に遺族へお金を残してあげたいという動機であった場合、危険なことになる可能性があるからです。
なので今回、特にテーマを絞って、このような記事を書くことにしました。
この記事は、
- 自分の親が65歳を超えている人
- 親が預貯金をそこそこ蓄えている人
- 退職金などを預貯金でそのまま貯蓄している人
に向けて書いています。
これに該当してくる場合、お金のことについてそろそろ具体的に動いておかないと、大きく困ってしまうことになります。
それがなぜなのか、この記事を読んでいただくと解ると思うので、
もし「これって自分のことかも?」と思った方は
是非最後まで読んでみてください。
預貯金でお金を持っておくことがどうしていけないのか

ご存知の方も多いとは思いますが、故人が生前に銀行や信用金庫で貯めていた貯金や預金は、
死亡に伴い口座が凍結されてしまうため、引き出せなくなってしまいます。
なぜかというと、相続人の間で遺産分割協議をしなければならないからです。
遺産は法律に沿って適正に分けあって引き継ぎ納税をすることになっているので、相続財産は一度凍結されてしまうのです。
この遺産分割協議が成立し、法定相続人すべてが同意(捺印)をすれば、
それから相続財産を現金化できるようになります。
そうなると困ってくるのが、死亡直前までにかかった医療費や介護費、死亡直後にかかるお葬式関連の費用や相続税の支払いです。
これらの支払いは、遺産分割協議の成立を待てないことがほとんどです。
それを回避できる方法が、生前のうちに預貯金を生命保険へ預け替えておくという方法です。
この凍結される相続財産の中で唯一凍結されないものが、生命保険なのです。
預貯金を生命保険に預け替えておくと、お金の形を死亡保険金へ変えられるため、
用途がハッキリしたお金となることにより受け取る人を事前に指定できるので、
その結果、死後に必要な整理資金などをしっかりと現金で受け取ることができるのです。
ちなみに2021年現在では、預貯金は遺産分割が終了する前でも
一定額までを払い戻すことができるようになっています。
その一定額とは、
預貯金残高の1/3×各相続人の法定相続分
となります。
ただし、一つの金融機関ごとに上限は150万円までです。
これがもし、故人の預貯金が1つの銀行だけに100万円あったとし、
それを法定相続分が1/4である相続人が払い戻しを受けるとしたら、
100万円÷3=333,333.333…
33万円÷4=83,333.333…
となります。
ざっくりと、8万円程度です。
これだと事足りないので、やはり死後整理資金は確実に準備しておける方法で
確保しておくことが大切となるのです。
亡くなることにおいて、お金は預貯金で持っておかないでできるだけ他の資産へ形を変えておくこと

このように、相続のことを考えると、老後でのお金は預貯金でずっと持っておくものではなく、
向こう1~3年以内にある物事のために使う分だけ預貯金で置いておいて、
後のお金は全て、他の安全性の高い資産へ預け替えしておくべきなのです。
ここで大切なのが、相続されることになる財産は、すぐ現金化できる資産に変えておくということです。
例えば、預貯金以外の金融商品となる、保険や有価証券などの個体のない
分割できるようなものです。
お金を個体のあるものに預け替えすると、現金に換えたい時に手こずるのでおすすめしません。
その中でも、土地や家などの不動産と言われるものに形を変えてしまうとことだけは避けることです。
これらは、売買に相当の手数をかけることになったり、
小分けして現金化しにくいため、適切ではありません。
このような側面から見ても、老後の資産を確実に家族へ引き継ぎたいのであれば、
終身型の死亡保障を利用することがベストとなります。
なぜかというと、
この凄さを利用できるからベストなんですね。
まるで信託銀行に財産を信託していることと同じなんです。
参考:自分の親が老齢となったことによって考えられる、他の先の不安ごととは

他にも、老齢となったことでいよいよ考えておいたほうがいいことがあります。
それは、親名義の持ち家と土地の問題です。
親と別世帯で暮らしている場合、親の住んでいる今の家が将来空き家になってしまうことに対して、
どう活用しよう?どう処分しよう?と思うのではないかと思います。
今の現代社会において、この問題を考えるようになる割合が非常に多くなってきています。
これを解決するためには、リースバックという方法があります。
これは、現時点で家を売却し、その後は賃貸でそのまま住み続け、死後の大きな支払いを削減するという方法です。
もう次の代の家族が住む予定の無い家は、償還期間内で価値があるうちに処分して、自分たちの名義ではない形で死ぬまで借りて住んでもいいと思います。
そうすることで、死後の財産分与の問題や相続税の支払いなどの重たい負担をカットすることができるからです。
それか、今の家を担保に差し出してお金を借りながら暮らすという方法もあります。
これはリバースモーゲージと言って、年金にさらに収入を上乗せして暮らすことができる方法で、
生前に借りるお金を一切返済せずに、担保にした家を死後にそのまま売却して返済に充てるので、
持ち家の相続が発生しませんし、親は余生の暮らしを充実させることができます。
両方は、最後に相続税で資産を持っていかれる懸念がある場合では、
生きているうちに資産を取り崩しながら税金の対象にさせずに終わらせることができるので、
とても大きな効果を生むことができるのです。
どちらが適切なのかは、それぞれの資産状況によりケースバイケースなので、
気になった方は、リサーチや相談をしてみるとよいでしょう。
こうやって、老後に所有する固定資産は生きているうちに上手く現金化していき、その中でも消費されないで残る流動資産は証券化しておくという流れをとることで、
遺された家族への本当の負担を無くすことに繋がるのです。
まとめ:死んだらお金はあの世に持っていけない。預貯金は死後にお金を持っていこうとしていることと同じ。だからおかしいことに繋がる

いかがでしたか?
預貯金が身近にありすぎて、少し遠くにある画期的な資産形成の仕方や、
徐々に差し迫っている重要な問題に気づけないようになっているということが
本当の社会問題だということがお分かりいただけたでしょうか?
そして、人間の人生の最終章である「老後の暮らしとその死後」においては、
それが顕著に表れてくるステージなんだということに、
一刻も早く気づいて欲しいと思います。
その対策として、お金や有価証券・不動産や価値のある物品・所有している名義や権利などは、
できるだけ生前に贈与しておいたり、名義を移しておいたり、現金化して証券化したりと、
老後で持つお金の形は、現役の頃とは真逆にするということを頭に入れておいてください。
もちろん、贈与税の控除の適用範囲内の額で移動することがポイントです。
決して、何もしないで死を迎えることだけはしないでください。
そうすることが大切な一番の理由が実は、遺族間での争いを避けるためだからです。
遺産分割がきっかけで相続争いに発展し、家族親族の関係が一気に悪化して決別することがあるからなのです。
このように、保険に預け替えておくだけで受取人の固有財産にできることは
とても大きなメリットです。
遺言で特定の人を指定していることと全く同じ行為になるわけですからね。
遺された家族のためにお金を残してあげたいという気持ちは素敵なことだと思いますが、
死後への残し方を生きているうちと同じ形にしていると、逆に大変なことになる可能性が高いのでマズいのです。
遺された家族のためを思っているのなら、そこを真剣にリサーチし行動しておくことが
愛だと、私は思います。
そして、老齢となった親御さんだけでは、この小難しいお金の処方や相談への具体的な行動がとれない傾向があります。
どこに相談していいのかや、何を相談していいのかが理解しにくくなってくる年齢でもあるので、
自分だけでは行動に移せずに時間だけが経ってしまい、相談しても手遅れだったケースへと発展しやすいのです。
なので、どうかお子様など他のご家族が促しながら、一緒に動いてあげてください。
その際は、よくある金融機関に相談に行くのではなく、先にFPや信託銀行に相談に行きましょう。
お金の継承に優れた力を発揮しているのが、実はFPや信託銀行なのです。
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